20歳前の傷病による障害基礎年金について
未成年のとき初めて医師や歯科医師の診断を受けた傷病が、一定の障害状態にある場合は、「20歳未満の傷病による障害基礎年金(国民年金)が支給されます。(未成年であっても、働いてお給料から年金保険料を納めている場合は、通常の「障害厚生年金 (厚生年金) 」が支給されます。)
この国民年金の制度は、年金保険料を納めていなくても支給されますから、年金制度の例外になります。
- その例外の理由は以下の3つをあげられます。
- 1. 20 歳未満ではそもそも保険料を支払うことができないことがある
- 2. 国民年金は国民生活の維持・向上のために国民共同で支えるしくみである
- 3. 国民一人ひとりを大切にすること、一人ひとりが大切にされることが社会の理念である
保険料の納付が必要ないことから、この制度は、支給制限がかかる場合があります。
受給へ向けた準備preparation
お子様がお医者様にかかった際にするべき3つの大切なこと
大きくなってから障害年金を申請する場合、今から大切にすべきことが 3 つあります。
1. 主治医との関係を大切にする
年金を申請するときには、医師の診断書が必要です。 医師はカルテを作りますが、医師は子どもの頃の経過が分からなければ、どのように診断書を書いて良いかわからなくなってしまいます。 だから、主治医との良い関係を作って、主治医に大きくなるまでの経過を知っていただくようにしましょう。転勤などがあって、主治医が変わってしまったときは、元の主治医と常に連絡が取れるようにしましょう。
2. 子どもの時から日常記録を書いておく
障害年金の申請書類に、自分の視点から疾病の状態を申し立てる書類があります。 子どもの時からの状態をさかのぼって文章にすることは大変です。子どものときからどのような療育過程を経て大きくなったのか、文章で記録を取ることがとても大切です。将来に備えて、文章で記録を取りましょう。
3. 初診日の証明が必要である
障害年金の申請には、医師の診断書による「初診日の証明」が求められます。これは法律に従って、厳格に要求されます。「初診日」というのは、初めて医師にかかった日のことです。この初診日が 20 歳前であることが「20 歳前の障害基礎年金」の申請では必要です。
当事務所では、子どもの時に初診日を証明する書類の作を医師に行うサービスをしています。
なお、先天的な知的障害である場合、この「初診日の証明」は必要ありません。
20歳前傷病の初診日の証明
「20 歳前の傷病による障害基礎年金」であっても、未成年の時に最初の医師や歯科医師の診断を受けていることが必要です。未成年のうちから、書類を作っておくべきです。というのも、初診時の医療機関の証明を得ることが難しくなってしまうことがあるからです。難しくなってしまった場合には、請求される方の状況に応じて、別途、初診日証明書類を用意できることがあります。下の四つの方法を参考にしてください。
- 1. 2番目以降に受診した医療機関が作成した受診状況等証明書または診断書を用意すること
- 2. 第三者証明(2通)を用意すること
- 3. 初診日頃または 20 歳前の時期に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明(1通)を用意すること
- 4. 上記の1~3で不可能な場合は、その他の証明方法によって証明すること
支給制限についてPayment restriction
所得による支給制限
前年の所得額が 4,621,000 円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、 3,604,000 円を超える場合は 2 分の 1 の年金額が支給停止となります。支給停止となる期間は、8 月から翌年 7 月までとなります。(所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。)
所得以外による支給制限
1.労災保険などの年金を受給しているとき
業務上の病気やケガで労災保険から年金が支給されることがあります。この場合、その受給額について障害基礎年金の年金額から調整されます。つまり、労災保険などの年金が優先されます。
2.海外に居住したときや刑務所等の矯正施設に入所したとき
海外に居住したときや刑務所等の矯正施設に入所した場合は、障害基礎年金の全額が支給停止されます。なお、矯正施設に入所している場合でも、有罪が確定していなければ支給停止とはなりません。
よくあるご質問Question
障害年金について
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Q 受給要件を教えてください。
原則 3 つの条件があります。
1.初診日要件 障害の原因となった病気やケガについて、初めて治療目的で医師または歯科医師の診察を受けた日(初診日)が明らかであること。
2.障害要件 初診日から 1 年 6 ヶ月が経過した日、またはこの期間内にその病気やケガが治った場合(症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った場合を含む)はその日において、一定の障害状態にあること。
3.保険料納付要件 初診日を基準にした一定期間に年金保険料を納付している、あるいは、免除されていること。ただし、未成年であって、年金保険料を納めていない場合は、「20歳未満の傷病による障害基礎年金」の制度があります。 -
Q 請求時期はいつですか?
「障害認定日による請求」と「事後重症による請求」の二つの時期があります。
「障害認定日による請求」
初診日から 1 年 6 ヵ月経過した日(またはそれまでに治療の効果が期待できない症状が固定した場合なども含む)に一定の障害の状態にあるときは、その翌月分から年金を受け取ることができます。これを「障害認定日による請求」といいます。
「事後重症による請求」
上記の障害の状態に該当しなかった方でも、その後病状が悪化し、一定の障害の状態になったときには請求日の翌月から障害年金を受け取ることができます。このことを「事後重症による請求」といいます。 -
Q 障害年金・障害手当金の額について教えてください。
額は障害等級で異なりますが、2 級が原則になります。
国民年金のみ加入していた場合は、2 級は年額 780,900 円になります。2 級であっても、会社のお勤めの方や公務員の方で厚生年金に加入していた場合は、780,900 円に併せて給料の多少に応じた報酬比例の厚生年金が支給されます。
1 級は 2 級で計算された額の 1.25 倍の額になります。
厚生年金制度には、1、2 級よりも軽い 3 級の年金と、さらに軽い「障害手当金」という一時金の制度があります。
3 級は 780,900 円を除いた給与に応じた報酬比例の厚生年金のみが支給されます。
最低保証額は、585,700 円です。
3 級よりも程度が軽い場合、一時金の「障害手当金」が支給されます。「障害手当金」は 3 級の年金額の 2 倍で、最低保証額が、1,171,400 円になっています。
なお、1、2 級の厚生年金には、配偶者のための加算、国民年金には、子どものための加算が付きます。
当事務所サービスについて
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Q わからないことがありますが、相談料はかかりますか?
ご相談は無料で伺っています。
年金が支給される可能性を確認するまでの事前の事務手数料や着手金は一切かかりません。 -
Q 年金の申請を依頼するといくらかかりますか?
原則支払われた年金額の 2 か月分になりますが、年金が支給されてからの後払いになりますから、負担感がほとんどありません。事前の事務手数料や着手金はいただきません。